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日本サーフィン全体の未来を見据える五十嵐カノアの新たな挑戦。Red Bull Surf Jamへの想いとロサンゼルス五輪への挑戦。SPインタビュー

世界最高峰のCTサーファー、五十嵐カノア、レオナルド・フィオラヴァンティ、ジャック・ロビンソン。普段は世界中のツアーを転戦する3人が、静波サーフスタジアムに集結した。
その舞台となったのが、五十嵐カノア自らが発案した「Red Bull Surf Jam」だ。イベントには日本のトッププロやジュニアサーファーも参加。CTサーファーと同じ波を共有し、同じ時間を過ごすという、日本ではこれまでにないセッションが実現した。
イベント前日、SURFMEDIAは五十嵐カノアにインタビューを行い、このイベントに込めた想い、そしてロサンゼルス五輪へ向けた現在の心境について話を聞いた。


「レッドブルは僕の夢を本気で形にしてくれた」
今回の「Red Bull Surf Jam」は、レッドブルから与えられた企画ではない。数か月前、カノア自身が描いていた一つのアイデアから始まった。
「レッドブルって、大会だけじゃなくて、自分がやりたいことや夢を聞いてくれるんです。3、4か月前くらいに、『日本でスケートボードのジャムセッションみたいな、サーフィン版のイベントをやりたい』と相談したら、『どんなイベントにしたい?』とすぐに聞いてくれました。」

そこから企画は具体化していった。ウェーブプールという舞台で、CTサーファー、日本のトッププロ、そして未来を担うジュニアサーファーが一緒に波に乗る。競技ではなく、純粋にサーフィンを楽しみ、お互いのスタイルを見せ合うイベント。

「日本のサーファーにとってプラスになるイベントをやりたい。」
その想いにレッドブルが共感し、実現へ向けて動き出したという。
「本当にありがたいです。ここまで形にしてもらえて、すごく楽しみにしています。」
「CTがない日本でイベントをやる意味」
カノアが目指したのは、勝敗を決めるイベントではない。世界トップレベルのサーフィンを、日本の若い世代が肌で感じられる空間だった。



「CT選手でも、ジュニアの選手がやるような新しい技を見ることもあるし、日本のフリーサーファーにはまた違うスタイルがあります。」








「CTのサーフィンもあれば、日本独特のスタイルもある。その全部を一つの場所で見せられるのが、このイベントの面白さだと思います。」
スケートボードやスノーボードでは珍しくないジャムセッション文化。
そのカルチャーをサーフィンにも取り入れたいというのが、今回の原点だった。
「日本の未来のためなら行くよ」

今回、カノアの誘いで来日したレオナルド・フィオラヴァンティ、そしてジャック・ロビンソン。3人は12歳の頃から世界を舞台に競い合ってきた仲間だ。
「子どもの頃から一緒に戦ってきて、お互いにプッシュし合ってきました。」現在は3人ともCTを代表するトップサーファー。だからこそ、今回の来日には特別な意味があった。
「最初は普通に『来る?』って聞いても、多分忙しくて来られなかったと思います。」しかし、カノアは違う言葉で二人に伝えた。
「日本にはCTイベントがない。だから日本の子どもたちに、本物のトップレベルを見せたい。」「これは日本のサーフィンの未来のためのイベントだから来てほしい。」その言葉に二人は即答した。「日本のためなら行くよ。」







世界トップクラスのサーファーが、日本の未来のために集結した背景には、そんな友情があった。カノアは、「日本のジュニアとCTサーファーとの距離をなくしたい。最後には”みんな同じサーファーなんだ”と思って帰ってほしい。」と言った。
カノアは、単なるサイン会やファンイベントではなく、一緒に海に入り、一緒に波に乗ることで、本当の意味で交流できる場を作りたかったという。「CT選手は特別な存在ではなく、自分たちと同じようにサーフィンを愛する人間なんだと感じてもらいたい。」
そんな想いがイベント全体のコンセプトになっていた。

ジャック・ロビンソンもカノアの考えに強く共感する。「子どもたちには”ジャック・ロビンソン”として見てほしいんじゃない。”友達”のような存在になれたら嬉しい。」
「僕たちもみんなと同じように子どもの頃があった。だから気軽に話しかけてほしい。」と語り、ヒーローではなく、一人のサーファーとして接してほしいという思いを語った。

カノアも、「日本では最近ずっとCTイベントが開催されたてない。子どもたちが世界最高峰のサーフィンを間近で見る機会を作りたかった。」と、このイベントの意義を説明している。
アジア競技大会が今年最大の目標


イベントを終えた後、カノアは次の戦いへ向かう。現在もっとも重要視しているのは、ロサンゼルス五輪出場につながるアジア競技大会だ。
「今日の朝も田原で練習して、そのまま静波に来ました。
波のチェックだけではなく、日本代表チームとして宿泊や食事などの準備も進めているという。
「今年、一番大切なイベントです。今はそこが一番のプライオリティです。」
ロサンゼルス五輪を見据えながらも、まず目の前の一戦に集中する。
「ロス五輪のことは毎日考えています。でも、その前を見過ぎないようにしています。まずはアジア競技大会で最初のオリンピック枠を取ることに集中したい。」
東京、パリを経て見えたもの

東京、そしてパリ。二度のオリンピックを経験したカノアには、以前とは違う景色が見えている。「東京では、自分はオリンピックで金メダルを狙えるということが分かりました。」
一方、パリでは勝負の厳しさも改めて痛感した。「スポーツだからミスもあります。でも東京で経験したことが、一番大きかった。」だからこそ、目標は変わらない。「次も金メダルを取りたい。」その視線は、すでにロサンゼルスへ向いている。
日本サーフィンをもっと強くしたい
インタビューの最後、ブラジル勢が世界を席巻する現在のCTについて話が及ぶと、カノアは日本サーフィンの未来について語った。
「ブラジルが強いのは、お互いが刺激し合って、一緒にレベルアップしているから。」
その姿は、自身が子どもの頃から思い描いてきた理想でもある。
「だからもっと日本人がCTに増えてほしい。みんなで一緒にレベルアップできる環境を作りたい。」
日が落ちてからのメインイベントとなったナイトサーフィンのRed Bull Surf Jamでは、五十嵐カノア、レオナルド・フィオラヴァンティ、ジャック・ロビンソンのCTトップサーファーに加え、スタブハイでその名を轟かせたエアリアルの名手である枡田雷治らによるスペシャルセッションが行われた。











今回の「Red Bull Surf Jam」も、カノアにとっての第一歩なのかもしれない。世界のトップサーファーを日本へ招き、未来を担う子どもたちへ本物を届ける。そして、世界で戦う仲間を日本からもっと増やしたい。
それは一人のトップアスリートとしてだけではなく、日本サーフィン全体の未来を見据える五十嵐カノアの、新たな挑戦でもあった。
引用元
日本サーフィン全体の未来を見据える五十嵐カノアの新たな挑戦。Red Bull Surf Jamへの想いとロサンゼルス五輪への挑戦。SPインタビュー

